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横浜中華街が色あせた今、中華料理は“銀座”が熱い

2015年 9月 26日13:25

日本産の安心できる食材

と伝統的な中華料理のコラボ

 味上海路線を受け継いだ四季·陸氏厨房の人気の理由は上海本場の味、あるいは上海でもすでに求めにくい本来の味の上海料理が手頃な料金で食べられるからだ。食材にも、上海出身の新華僑や上海滞在経験をもつ日本人に郷愁を呼び起こすものが多く使われている。たとえば、真菰(まこも)、上海蟹などだ。

 中国人顧客に親しまれる太刀魚や中国で「石斑魚」と訳され高級魚と知られるハタの蒸し料理(清蒸帯魚または清蒸石斑)や、醤油煮のダック(醤鴨)、上海や紹興を含む江南地方の名物料理と見られる冷製の蒸し鶏·白斬鶏(バイジャンジー)、豚のももの最上部にあたる蹄胖(ティパン)の角煮·紅焼蹄胖、ボタン海老などを紹興酒に漬けた酔蝦、一夜塩漬けした太刀魚を揚げた香煎帯魚、濃厚にしてあっさりとした庶民の味で喜ばれる高菜とイシモチのスープ·咸菜黄魚湯などが人気のメニューとなっている。

 中国の北方では水餃子が好まれているが、上海などの南方では、ワンタン、特に大き目のワンタンを指す大ワンタンというのは不動の人気を誇っている。四季·陸氏厨房の大ワンタンは食事を終えたお客さんの多くが持ち帰りにするほど人気を呼んでいる。

 日本の地方食材を積極的に使用していることも、私がこれらの中華レストランを評価しているもうひとつの理由だ。

 たとえば、御膳房では、自然に育った岩手の短角牛、仙台の黒豚、地鶏などを使用している。小肥羊は山梨県小淵沢の高原野菜を時々、仕入れている。開店したばかりの四季·陸氏厨房も日本地方の珍味やスイーツなどをメニューに導入しようと、意欲的に北海道や高知県との接触を始めている。

 これらの動きは、日本に生活の基盤を築いた新華僑経営者の視野の広さを示している。伝統的な中華料理のメニューに、日本の安全かつ健康的な地方産の食材が加われ、新しい味として消費者に評価されるのではないか、と期待されている。

 もちろん、ビジネスは市場の試練を受けなければならない。実際、銀座に進出したものの、鳴かず飛ばずで店をたたんでしまったケースもある。

 しかし、高級中華レストランが銀座に集まるその傾向は変わらないだろうと思う。近い将来に、銀座は日本における新しい中華料理の重要な情報発信地になるかもしれない。その期待を胸に抱きながら、銀座の中華レストランをこれからもチェックしていきたいと思う。